VOICES

お客様のビジネスを育てたい

染谷 梓郎

プロジェクトマネージャー
株式会社ムロドー

略歴
2007年新卒として楽天株式会社に入社。楽天レンタルの開発を経て、2010年に楽天市場国際開発室へ異動。国際版プラットフォームの開発に従事した6年間でエンジニアチームリーダーを経て、プロダクトマネージャーを経験。
中国、マレーシア、スペインなど多数の国際楽天市場の新規立ち上げや、同プラットフォームのローカライゼーション層・データモデリング・APIなど中核部分の設計を務め、オープンAPI導入支援の顧客対応やヘルプデスク設置など幅広く従事。在籍中に楽天賞(月間優秀社員賞)を3度受賞し(2009年度、2012年度、2014年度)、2015年7月で退職。同年9月から現職。

現在の役割

お客様とベトナムのラボチームを繋ぐプロジェクトマネージャーです。

仕事内容

お客様とラボチームを繋ぐ立場として、お客様の要求整理に始まり、開発されたシステムの検品、リリースまで包括して行います。

具体的には、お客様から案件の概要を伺い、チームが開発に着手できるように仕様書を起こします。必要に応じて機能仕様書、データ設計、画面仕様書などを作成し、検品にあたってはチームの単体テスト計画レビュー、結合試験の計画と実施、そしてリリース日のマネジメント、リリース後の効果測定などを行います。

また仕様の管理だけでなく、チームのラインコントロールも行います。一緒に働くプロセスを定義し、そのプロセスに則って進めてみて、不都合があれば常に一緒にチームと改善しています。私のチームでは、毎週金曜日に次の週の計画を立て、翌木曜日の朝に成果物のプロダクトデモを行います。プロダクトデモで仕様との齟齬を確かめ、またそもそも当初のお客様の要求を満たすようなプロダクトになっているかを確認します。追加開発が軽微であれば、その日のうちに追加修正を指示し、大きいものは翌週のスプリントへ対応をスライドします。

プロダクトデモはSkypeの画面共有を通じて、ベトナムラボチームと私の間で行います。デモの様子は画面キャプチャの動画として保存しておき、ハイライトを編集して、その日の夕方にお客様にご確認いただきます。お客様からは「ガントチャート上の進捗率の変化ではなく、実際に動いているプロダクトを確認することができるので進捗が一目瞭然」とご好評をいただいています。お客様は毎週金曜日のスプリント計画見積もりの結果を、翌週の月曜日にレビューしているため、その見積もりと一致しているかどうかを確かめることができます。

また1週間のスプリント計画ではカバーできない大中規模の開発プロジェクトのマネジメントにおいては、1週間ごとのスプリント計画とは別に全体のガントチャートを作成し、数ヶ月のプロジェクトにおけるマイルストーンを作ります。このマイルストーンとなる日付がお客様の意向と一致しない場合は、どのようにしてこれを急げるかを検討します。例えばベトナムチームの人員増加が必要であれば、ムロドー側の追加人員を対応できるかマネージャーと相談し、同時にお客様へは追加人員と予算の根拠を説明し、ご納得いただけるように全体マイルストーンとプロジェクト予算を管理しています。

仕様書の作成、ラインコントロールだけではなく、結合テストのテスト計画レビューとテスト環境での実際の結合テストも担当しています。仕様書で意図している通りにシステムが動いているか、仕様書ではカバーしきれなかった仕様バグや「使いにくさ」がないかも合わせて確認しています。システム全体がお客様の意図した通りに動いたことを確認し、本番リリースの要請を最終的にお客様に行います。

本番リリース後は、システムの動作確認だけでなく、導入した効果の定点報告を行います。リリース直後1−3日のフラッシュレポートから、1ヶ月以上に渡って定量的なレポートを作成します。意図されたようにシステムのKPIが改善しない場合は、必要に応じて詳細な状況解析を行い、追加改修の提案も行います。

以上の通り、お客様とベトナムラボチームの間で、単なるブリッジ的な立場として稼働するのではなく、プロダクトおよびプロジェクト全体のマネージャーとしてお客様のビジネスが育つように製品と開発工程の管理に務めています。

日々のコミュニケーション

1週間のスプリント計画を遂行するにあたって、毎朝チームと進捗確認のミーティングをSkypeで行います。このミーティングログをベトナムチーム側に作成してもらい、ミーティング終了後、Skypeチャットにテキストメッセージとして送信してもらい、認識の齟齬がないかを確認しています。また日々発生する質問事項については、プロジェクト全体で利用しているAtlassian Confluenceに「質問票」ページを作成し、ここで回答の管理を行っています。質疑応答を繰り返す中で追加・変更・削除される仕様については、常にAtlassian Confluenceに管理する仕様書へ反映し、チーム全体にアップデートします。

気をつけていること

お客様と働くときと、ベトナムラボチームと働くとき、それぞれに気をつけていることがあります。

お客様とのリレーションにおいては、

  • 言われたことを額面通りにやって当たり前、その先の提案を作れるか
  • またその提案を口先だけでなく、形に出来る現実的な範囲で作れているか
  • そして如何に早く納品できるか

を意識しています。お客様に一緒にビジネスを作っていくチームであると、ベトナムラボチーム全体を感じていただけるように努めています。

ベトナムラボチームのマネジメントにおいては、

  • チームの統一の価値観を作ること
  • 指示と教育を分けること
  • 同じチームで1つのプロダクトを担当している意識を醸成すること

を意識しています。ベトナムラボチームを導入いただくことの最大のメリットは、チームが成長することです。チームが成長するために前述の通り、開発プロセスの共通理解は絶対に必要ですが、その先のレベルで、チームメンバーそれぞれが様々なことに従事するときに何が正しくて、何が正しくないかを言葉にして伝えるようにしています。

例えば「開発を進めるにあたって、システムについての疑問が出たが、特に周りと確認せず自分で判断して進めた」という行動は、ほとんど不正解で少しだけ正解です。自分で判断して全体の生産性を意識して進めるということは正解ですが、自分のリーダーやプロダクトマネージャーの私に確認を並行して進めなかったことは不正解であり、このような場合には周りとすぐに疑問を共有し、待ち時間が発生するようであれば、確かなところから進めることだと伝えます。これは些細で単純な例ですが、チームの統一の価値観や行動規範を作っていくことを最も大切にしています。

そして作っていくときには、指示と教育を区別してコミュニケーションするようにしています。プロジェクトのタイムラインとしてはとにかく手を動かせる指示が必要なこともありますが、一度落ち着けば毎週木曜日のプロダクトデモ終了後にチームと「振り返りミーティング」を行うことで、以降の改善に活かしていきます。

そして最後は、どんなに厳しいことを求めても、私が指示者ではなくチームの一員として理解してもらえるように振る舞うように努めています。例えば、達成して欲しい納期があったときに、それを「とにかく達成しろ」と伝えることは「外にいる人間」の振る舞いであり、そうではなく「どうやって達成できるか」を一緒に考えます。納期が問題なのか、仕様の複雑さが問題なのか、など一つ一つ一緒に確認していきます。

この仕事の喜び

お客様のビジネスが成長することと、ベトナムラボチームとその喜びを共有することです。お客様から依頼案件だけでなく、何かシステムの改善点を提案して欲しいと要望をいただき、幾つかの改善を行いましたが、その中の一つとして、お客様のECサイトのお買い物画面のユーザーインターフェースを大きく変更したケースがありました。リリース直後数日に結果を確認して、すぐに問題があることがわかりました。即座に改修案を検討して、画面の軽微な修正を行い、2週間後に再度リリースを行いました。結果、お買い物画面のCVR(コンバージョンレート:商品画面を見たお客様がどれぐらいの確率で購入に至ったか)は直近2年で最高値を記録して、現在も順調に推移しています。このようにビジネスが改善されたこと、またそれを粘り強く、柔軟にチームと対応できたことは私たちベトナムラボチームの最上の喜びと感じています。