VOICES

お客様のビジネスパートナーとして

根本 崇司

General Director
Mulodo Vietnam Co., Ltd.

略歴
明治大学卒→ビートクラフト→ぐるなび→当社創業。組込系システム開発会社のビートクラフトにてエンジニアとして従事後、ぐるなびシステム部門マネージャーを経て、2007年ムロドー創業。TechCrunch50 セミファイナリスト。2015年5月より、Mulodo Vietnam代表。

現在の役割

Mulodo Vietnamの代表。年間計画、人事・教育方針の策定や、弊社全体の技術の方向性を定めたりしています。

仕事内容

日常業務としては、技術のトレンド・実プロジェクトの動向を見て採用・体制・教育方針を定めたり、各プロジェクトが円滑に進むようなプロセスの改善を行ったりしています。

具体的には、実際に行われているプロジェクトを、やり取りされているスカイプ、メールなどを実際に確認しつつ、採用計画を更新したり、勉強会などを含む教育体制を改善しています。プロジェクトへのアサイン、内部での調整については、基本としてGMの近藤に任せていますので、私の方ではメンバーの汎用的なスキルアップや、キャリアパスを考えた全社的な教育方針を定めています。

採用・教育方針ですが、現在の技術トレンド・開発業務のトレンドなどをみながら、中長期的な技術育成方針を定めています。実際のプロジェクトに直接関わる技術習得については、マネージャやGM近藤が中心に進めていますので、私の方では、会社全体のスキルアップを念頭においています。2016年度は、BigDataをキーワードとして、大量データ取得、並列化、リアルタイム分析といった点を中心に社内技術を育てています。

実際の教育については、弊社の技術育成方針に合わせて勉強会を開催したり、作業依頼という形で実プロジェクトに直接的には関連しない技術を習得させています。ベトナムエンジニアは、世の中の新しい技術やプロセスのトレンドを自ら調べて学ぶことは苦手です。しかし、このように勉強会や作業依頼という形で具体的に学ぶべき内容を示せば、彼らは驚くべき速度で技術を吸収していきます。

ベトナムオフショア開発に関して

オフショアを採用するに当たって、ほとんどのお客様は「コミュニケーションは大丈夫なのか」について懸念されています。確かに、これらの点については、これまでも弊社が様々な苦労をしてきた点でも有り、実に的を射たご懸念であると言えます。

「コミュニケーション」については、ベトナムにかかわらず、オフショアにおいて最も懸念されるポイントです。「話したことがきちんと伝わっているのか」というのは、オフショアでなくとも問題になりがちであり、ましてやFace To Faceで話せない何千キロも離れたオフショアで心配されるのも当然です。そもそも「伝わっているのか」という点については、お客様から得た業務知識をWikiなどを用いて共有する、という作業を徹底することで大きな改善を見せています。また、日常のやりとりを少しずつ改善していくことで、お客様の業務スタイルに合わせてフィットしていきます。

しかし、ベトナム以外の国においてオフショアを利用された経験がある場合は、実際に何らかのコミュニケーションロスが発生した場合の具体的な対応について、より大きな懸念を持っていると思います。プログラム作成後の確認において問題が発生した際に、オフショア先から「それは仕様書に書いてありません」「今からの修正は別対応とさせて頂きます」という悲しい回答が帰ってきたことも多々あると思います。

しかし、善し悪しは別として日本の商慣行に近い「情」が存在することがベトナムの特長です。例えば、トラブルが発生した場合には、原因がお客様・弊社のいずれにあるかに関わらず、非常に精力的に対応していきます。こうした文化的背景が日本企業との業務に対して非常に親和性が高いという点が、ベトナムオフショアをおすすめする理由の一つです。

ムロドーベトナムの強み・特徴

先程は、ベトナムオフショアの良さ、についてお話ししましたが、今度は弊社の良さについてお話しさせて頂きます。色々あって話しきれませんが、まずは、先にお話ししたコミュニケーションに関連した話をさせて頂きます。

昨今の状況を見るに、ベトナムオフショア自体が非常に一般的になってきた感があります。開発プロセスの一つとして、普通に選択肢の中に入れている会社さんも多いと思います。とはいえ、やはりコミュニケーションの難しさ、について懸念されている場合が多いです。

通常、プロジェクトチームには、一人のBSE(ブリッジシステムエンジニア)をアサインして、日本側との連絡を行います。BSEは、高いエンジニアリング能力・日本語能力の2つを兼ね備えた人物であると定義されます。しかし、平均年令28歳と非常に若いこの国において、この2つの能力をともに高いレベルで保持しているベトナム人は非常に希です。したがって、ほとんどの場合エンジニア能力、もしくは日本語能力のいずれかが期待に添えない結果となります。弊社も当初はこの方式を想定していましたが、「エンジニア能力に難があり、十分な議論が出来ない」もしくは「翻訳に細かく誤りが発生し、巻き戻りが発生しやすい」といった問題が発生しました。加えて、BSEなる人物は想定単価が高く、オフショアという枠組みには合いにくいのが現状です。

弊社では、別なアプローチを行っています。それは、BSEを設置せずに、コミュニケーター(専用通訳者)をチームに2名アサインし、「開発」と「通訳・翻訳」の能力を分けるという方式です。これによって、エンジニアはエンジニアリング能力を磨くことに注力する事が出来ます。また、コミュニケータは純粋に高い日本語能力をある人材を適用する事が容易になります。この方法を採用して3年以上立ちますが、非常に安定しています。

また、この方式には当初は気がつかなかったもう一つの利点がありました。それは、いつでもリアルタイムに連絡が取れる、という点です。オフショアでは、チームが側にいないため、ちょっとしたことでも連絡をとるのに時間がかかることがあります。BSEがミーティングをしていたり、設計に没頭している場合は、時間単位で連絡が取れない場合があります。しかし、弊社のコミュニケータ方式ですと、常に2名のコミュニケータが待機しており、スカイプなどを経由して連絡が入ると、直ちにレスポンスを返すことが出来ます。実際に、特に他のオフショアも経験されているお客様から、「素早いレスポンスで、非常にストレスが溜まりにくいです」との高評価を頂いています。シンプルなようですが、日々常々発生する細かいやり取りにおけるストレス低減は、地味にみえつつも、弊社の非常に強力な武器となっています。

技術面においても、親会社であるムロドーが開発会社である事、代表の私とGM近藤がともにエンジニアである事が、良い相乗効果を生んでいます。

直接プロジェクト内部に関連する技術については、GM近藤を中心にスタッフに学ばせることが出来ます。同様に、弊社の方針として取得していくべき技術群については、私を中心に中長期的な教育を行っていくことが出来ます。さらには、要件定義といった通常オフショアからハズレがちな業務においても、日本本社のエンジニアが対応することで、全方位的にカバーが出来ています。

中長期的な話をしますと、先程も少し話しましたが、今年度はBigDataをキーとして、大規模ログのリアルタイム分析を容易に行えるような技術群を習得しています。これには、直接的な目標としてのシステムの構築の他に、弊社エンジニアの地力向上のために2つの目標を想定しています。一つは技術面での知識拡充、もう一つは運用を含めたシステム理解能力の向上です。

技術的な側面としては、大量データの取得、大量データの分析、大量データ保持のメンテナンスといった、一般的な環境とは異なる技能が問われてきます。メンバーは、これらの技能を実務として習得していくことで、標準的なシステム開発においてこれまで自分たちだけでは気がつかなかった問題点に自ら気がつくようなってきました。つまり、基本としてデータ量・速度が飽和する事を前提とした設計・実装を行っていくことで、これまでの設計では余り考慮していなかったポイントを含めた設計能力を身につけてきているのです。

また、実際にこのような分析システムを導入する場合、既存システムの変更に応じた運用改修が必須となってきます。

ベトナムのエンジニアにとって、「記載された仕様の実現」は容易ですが、「運用まで視野に入れたシステム全体の理解」はそれほど得意なものではありません。しかし、この業務をとおして、運用フローを含むシステムトータルで考える能力が、弊社エンジニアの中に生きた知識として培われてきています。今後もより高めていく必要がありますが、これはスムーズなプロジェクトの進行において、大きなポイントになってきています。

オフショア開発に関する苦労と喜び

日々の喜びや苦労についてはとても一言では語りきれませんので、一旦教育面にフォーカスしてお話します。

一つ目は、先にも少し話しましたとおり、ベトナムエンジニアは「世の中の新しい技術やプロセスのトレンドを自ら調べて学ぶことは苦手」です。これらは、実プロジェクトの開始時などについても問題となりがちですが、自身のキャリアという点においても他力本願です。

ベトナムエンジニアの転職の主な理由に、「すでに今のプロジェクトでは学ぶことは学んだ。新しいことを覚えたい」というものがあります。私ももともとエンジニアでしたが、確かにプロジェクトにおいても学ぶことは多いのですが、(プロジェクトに備えて)自分で学ぶ、という事の方が多かった気がします。

しかしながら、ベトナムのエンジニアは「何を学ぶか」という部分から教えて貰う事が中心であり、この点が弊社全体のスキルアップにおいて大きな問題となっていました。これらを進歩させるために、私が中心となりMeetUp.comに公開の勉強会を作成し、今後必要となっていく技術を習得させることにしました。目的は、「業務で利用している技術以外でも、重要な技術を学ぶ」という点にくわえ、「何らかのきっかけがあれば、それを元に学ぶ」という姿勢を身につけることでした。

また、社外で行われている勉強会やカンファレンスに誘い、一緒に行くことでこうした雰囲気に慣れさせていきました。先日も、Googleのエンジニアがホーチミンに来て発表をする場がありましたが、弊社メンバーも全員ではありませんが参加しています。

これらの精神的な部分における教育は、年単位でプランを立てて気長にじっくり進めています。が、先日あるプロジェクトで、候補に出てきたが実際には採用されなかった新しい技術があると聞いたので、これについて自分たちで勉強して発表をしないか、と誘ったところその場で関係メンバー全員が即座に「やりたい!」と答えたのには吃驚しました。当然、「実業務には影響させない、業務時間は使わない」との制約があったのですが、ベトナムでは余り歓迎されないこうした制約の下でも、主体的に技術に興味を持ってきた、というのが実感できました。このときはなんというか報われた感で一杯になりました。ちなみに、内容も概要から実践まで、かなり濃いものでした。

もちろん、この一件だけではなく、メンバー達がプロジェクト内で習得した技術の発表会などを行いなどと、エンジニアとしてあるべき姿勢が感じ取れてきてます。これらは、エンジニアリング会社として弊社のカラーを作っていく上でも重要であり、私の大きな喜びとなっています。

メンバーのこのような成長は、実際にお客様と進めているプロジェクトにおいても、地力そのものの向上や、課題に対する調査能力という形で生きています。これらの点がお客様から評価されることは、メンバーにとっても、私にとっても大きな力となっています。