VOICES

お互いに努力して、より良いチームにしていく

稲荷 幹夫 様

株式会社レコチョク
執行役員 CTO

略歴
慶應義塾大学院卒業後、アクセンチュア株式会社へ入社。iモードの立ち上げ当初からモバイルコンテンツに深く関わる。その後、株式会社サイバードCTOを経て、2012年に株式会社レコチョクへ入社。CTOとして、AWS移行等最新技術を積極的に取り入れ、新しい音楽の届け方をシステムの側面よりサポートしている。

株式会社レコチョク / レコチョク

御社がオフショア開発を検討された経緯について教えてください。

ご存知の通り、東京では優秀なエンジニアを確保することは非常に厳しくなっています。とくに当社のように大型のWebサービスを複数展開している事業者では、優秀でセンスの良いエンジニアを求めるため、そもそも絶対数が足りない中で各社との人材獲得合戦はますます激戦になります。そんな背景を受けて、当社のみならず大手Webサービス事業者各社は、グローバルに開発リソースを求め、組み合わせて最適化することはすでに当たり前となっています。サービス自体がいつかグローバル展開したときに備えて体制を見据えるというのもあります。加えて、コスト競争力。日本の優秀なエンジニアに日本のコストで任せる仕事、ベトナムの優秀なエンジニアにベトナムのコストで任せる仕事、これらの組み合わせて、質・量ともに最適な開発体制を構築していきたいという思いから、オフショア開発を選択しました。繰り返しですが、これはもはや業界全体で当然のことです。

ムロドー・ベトナムを選択した理由について教えてください。

ベトナム以外の国も含めて、かなりの数のオフショア開発会社を視察しました。そんな中、ムロドーを選択した理由は、(1)大手Webサービス事業者のラボ型開発実績が豊富であること、(2)東京本社自体も開発会社として技術力があること、の二つが大きいです。(1)については、比較的大規模なWebサービスや、ノリノリのスタートアップのラボ型開発の実績があったことは大きいです。いわゆる業務システムの開発とは異なり、ユーザー向けに展開しているWebサービスでは、その開発サイクルやスピード、必要なマネジメントはまったく異なります。これは、ムロドー自体が創業メンバーを中心に大手Webサービス事業者で働いていた経歴を持つメンバーが多く、仕事を進める上での目線やリズムが当社のようなWebサービスを展開している企業と合うからでしょう。ラボ型開発は受託開発とは異なり、「開発チームの一員として機能する」サービスです。そのため、いわゆるSIerのような受託側のキャリアだけを持った人だと、どうしてもこちら側が伝えたいニュアンスや速度にズレが出てくるのです。ムロドーは、自社サービスを提供してきたキャリアを持ったメンバーが多く、これは他社にはない魅力のひとつでした。(2)についても非常に大切な要素です。通常のオフショア開発会社というのは、日本は営業拠点としてのみ機能します。何か問題が起きた際、日本のエンジニアと相談しながら、グループ全体でサポートしてくれる体制は心強いです。なにより、「グループ全体のDNAがシステム開発会社であること」を感じます。ムロドーは東京本社でも開発をしているため、ベトナムのエンジニア教育についても非常に実践的で、技術へのこだわりを感じました。

ムロドー・ベトナムのラボの評価について教えてください。

ラボを開始してから2年以上が経ちますが、いくつかのサブシステムを担当してもらっています。開発力そのものについては満足しています。開発そのもの以外の周辺の業務、例えば、ソースコードレビューやテストなどで、課題となる部分は出てきましたが、ラボチームと当社で一緒になってその都度改善してきました。現在は、業務知識をしっかり習熟して欲しいと思って進めています。すでに当社のシステムには成熟しているので、今後はより業務知識が求められる部分を任せたく、システムや技術というよりは、業務知識のトランスファーに挑戦しています。文化も背景も異なる海外の開発者と一緒のチームになって仕事を進めるわけですから、当然、当社とムロドー側(ラボチームそのもののそうですし、それをマネジメントするムロドー側のマネージャーもそうです)が、お互いに協力する必要があります。「お互いに努力して、より良いチームにしていく」という共通認識があることが、非常に頼もしく思います。

ラボに取り組んでからの御社側での変化について教えてください。

当社側の担当エンジニアが成長しますね。開発プロセス全体を見越して、どのようにベトナム側へ指示を出す必要があるのか、というプロジェクト・マネジメントの能力が鍛えられると感じています。プロジェクト・マネジメントの能力は、仕事全般に通じるので、若手を中心にどんどん経験して欲しいと考えて考えています。また、担当エンジニアには、一年に何度かはホーチミンに数週間出張させています。海外経験を積むということ自体も大切で、成長に寄与していると思います。また、会社という視点で考えると、当初計画通り、開発コストを効率化できました。従来、日本のベンダーに依頼していた部分の多くがベトナムで十分に担当可能であることがわかったので、ひとつずつ移管しています。

ラボに対する今後への期待や改善点について教えてください。

最初の企画・設計は、当社のエンジニアが担当します。その後の製造工程をラボチームにお願いしているのですが、これはもう既にできている。今後はエンハンスの部分について、設計から任せられるように期待しています。そのためにはシステムや技術への習熟はもちろんですが、業務知識も必要。現在はそこに挑戦しているところです。エンハンスは何度も繰り返すため、一度のエンハンスのサイクルを終えるだけでなく、「今回はここまでをやり、次回はここを改善していく」というサービスやシステムのライフタイムサイクル全体を見て、ラボチーム側から提案してもらえるようになるとベストだと考えています。